「うちの子、落ち着きがないかも…」
「何度言っても忘れ物が直らない」
「つい手が出てしまうことがある」
こんな悩みを抱える保護者の方、もしかしたら「ADHD」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
この記事では、ADHD(注意欠如・多動症)とは何か、子どもに見られる主な特徴、診断の流れ、そして家庭での関わり方について、わかりやすくお伝えします。
ADHDとは?
ADHDは「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」の略で、日本語では「注意欠如・多動症」と訳されます。
主に次の3つの特性が見られます。
① 不注意(集中力が続かない)
- 話を最後まで聞けない
- 忘れ物・なくし物が多い
- 気が散りやすい(周囲の音や物にすぐ注意が移る)
- 課題や遊びを順序立てて行うのが苦手
② 多動性(じっとしていられない)
- 座っているべき場面で動いてしまう
- 手や足をそわそわ動かす
- 静かな活動が苦手(例:読み聞かせの時間)
- しゃべりすぎることがある
③ 衝動性(思いついたら即行動)
- 順番を待てない
- 相手の話を最後まで聞かずに答える
- 友達に手を出してしまう
- 急に走り出す・叫ぶなど予想外の行動を取る
これらの特性は、誰でも多少は持っているものですが、日常生活や学校生活に支障が出るレベルで強く現れる場合、ADHDの可能性があります。
いつ頃気づかれるの?
ADHDは、就学前後〜小学校低学年で気づかれることが多いです。
幼稚園では「元気な子」「やんちゃな子」と言われ見過ごされやすいですが、小学校に入ると、集団行動や指示理解が求められ、違和感がはっきりしてきます。
例えば:
- 授業中に立ち歩く・離席する
- 忘れ物・提出物が続く
- 暴言・暴力などのトラブルが頻発する
- 先生や友達との関係がうまく築けない
こういった「学校生活での困りごと」から、親や先生が専門機関への相談を考えるケースが多いです。
ADHDの診断はどうやってされるの?
診断は、小児精神科や発達外来などで行います。主な流れは以下の通りです:
- 保護者・学校からの聞き取り(生活・行動・困りごと)
- 発達検査(WISCなど)や心理検査
- 医師の診察・診断
注意すべき点として、診断はすぐに出るわけではなく、数カ月以上かかることもあります。医療機関によっては半年待ちも珍しくありません。
ADHDの原因は?
原因は脳の働き方の違いとされています。育て方や本人の性格のせいではありません。
特に「前頭葉(集中・判断・抑制などをつかさどる部分)」の神経伝達物質の働きに違いがあることが、研究で示されています。
また、遺伝的要因も大きく関係しているとされ、家族の中にADHD傾向のある人がいることもあります。
家庭でできる関わり方のヒント
ADHDの子どもは、「わかっていても、できない」「頑張っても、失敗してしまう」ことが多いです。叱る前に、以下のような対応を心がけてみましょう。
✔ 環境を整える
- 音や物の刺激を減らし、集中しやすい空間を作る
- タイマーやリストを使って見通しを持たせる
✔ 具体的に指示する
- 「ちゃんとしなさい」ではなく「イスに座って手を膝に」など明確に伝える
✔ 小さな成功を褒める
- 成功体験が自信につながる。「今日忘れ物なかったね!」など具体的に声かけ
✔ 失敗しても責めない
- 感情的にならず「次はどうしようか」と一緒に考えるスタンスを
まとめ:子どもが困っているときこそ、理解が力になる
ADHDは「できない子」ではなく、「困っている子」です。
大人がその困りごとを理解し、環境を整えることで、子どもは本来の力を発揮できます。
困りごとの背景にある気持ちに目を向けて、寄り添っていくことが、何よりの支援になります。
「うちの子、もしかして…」と感じたときは、一人で悩まず、早めに専門機関や支援課などに相談してみてくださいね。
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