「お友達と上手に遊べない」
「いつも同じルールにこだわる」
「音や光にすごく敏感」
そんなお子さんの様子に、不安を感じていませんか?
もしかしたら、それは「ASD(自閉スペクトラム症)」という発達障害の特徴かもしれません。
この記事では、ASDの基本的な理解と、子どもに見られやすいサイン、診断の流れ、家庭での関わり方について、わかりやすく解説します。
ASDとは?
ASDは「Autism Spectrum Disorder」の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。
以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などと分類されていましたが、現在はそれらをまとめて「ASD」という診断名になっています。
ASDの主な特徴は以下の3つです。
① 対人関係・コミュニケーションの難しさ
- 空気を読むのが苦手
- 相手の気持ちを想像しづらい
- 冗談や比喩が伝わりにくい
- 目を合わせるのが難しいことがある
- 一方的に話し続けてしまう
子ども同士の「なんとなく」や「阿吽の呼吸」が苦手なため、集団生活で戸惑いや孤立を感じやすいのが特徴です。
② 強いこだわりやルーティンへの執着
- 特定の順番ややり方を変えたがらない
- 急な予定変更にパニックになることがある
- 同じ物・同じ行動を繰り返す(並べる・回すなど)
- 興味のあることへの集中力が非常に高い(電車、恐竜など)
これは安心感を得るための行動でもあります。逆に、変化や不確実性に対して強いストレスを感じることが多いです。
③ 感覚の過敏さ・鈍感さ(感覚特性)
- 音や光、におい、肌ざわりに敏感(例:掃除機の音が怖い、服のタグが気になる)
- 人に触れられるのを極端に嫌がる
- 痛みや寒さに鈍感なこともある
ASDの子どもは、「五感の感じ方」が一般と少し違うことがあり、周囲からは理解されにくい困りごとにつながることもあります。
ASDはいつ気づかれる?
ASDは、早い子では2〜3歳ごろから「言葉の発達が遅い」「人への関心が薄い」などのサインが見られます。
しかし、言葉が話せるようになると一見目立たなくなり、小学校以降になって集団行動が難しくなったときに初めて「なんだか育てにくい」と気づくケースも少なくありません。
ASDの診断の流れ
- 気づき・相談
→ 保育園・幼稚園や学校での困りごとをきっかけに、保護者が市の支援課や医療機関に相談するケースが多いです。 - 発達検査・聞き取り
→ WISC(ウィスク)などの知能検査や、臨床心理士による観察、保護者への質問などが行われます。 - 医師の診察
→ 精神科や児童発達外来の医師が、発達の経過・特性を総合的に見て診断します。
予約が混雑していて半年以上待つこともあるため、早めに動き出すことが大切です。
ASDの原因は?
ASDの原因は脳の発達の違いによるもので、育て方や親の愛情不足などが原因ではありません。
遺伝的要素が強く関係しており、家族の中にASD傾向のある人がいるケースもよく見られます。
ASDの子どもへの接し方のポイント
ASDの子は、自分の感じ方や考え方が他人と違うことに気づきにくいため、トラブルが起きても「なぜ怒られたか」がわからないことがあります。
そんなときこそ、大人の側に「理解」が必要です。
✔ 見通しを立てられるようにする
- スケジュール表や絵カードなどで「次に何をするか」がわかると安心
- 突然の予定変更は、事前に予告してあげる
✔ 「ダメ」より「OKなやり方」を伝える
- 「走らない!」より「歩こうね」のように、してほしい行動を伝える
✔ 感覚特性に配慮する
- イヤーマフ・サングラス・柔らかい服などで過敏さを軽減
- 音の少ない場所、静かな時間帯を選ぶなど、環境調整も有効
✔ 得意を伸ばす
- 興味を持っている分野(地図・数字・生き物など)を生かした遊びや学びを取り入れると、自信や自己肯定感につながることが多いです。
まとめ:ASDは「違い」であって「劣り」ではない
ASDの子どもたちは、感じ方・考え方がユニークで、視点が独特だったり、驚くような集中力や発想力を見せてくれたりします。
大切なのは、「なぜこの子はこういう行動をするのか?」という視点で見守り、困りごとの背景に寄り添うことです。
「育てにくい」のではなく、「理解の仕方にコツがある」。
そんなふうに捉え直せると、子育ては少しずつラクになっていきます。
ASDを正しく知ることが、子どもを支える第一歩。
迷ったら、支援センターや専門家に相談して、一緒に子どもの未来を考えていきましょう。
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